四月初めの朝。
しとしとと降り注ぐ雨の音。
アスファルトの湿った匂い。
ぼんやりと靄がかかった白い世界。
少し肌寒い。
新年度の始まりは、やはり新鮮な空気で満ちている。
帰り道。
吐く息はまだ白い。
空には雲の隙間から月がぼんやりと顔を出している。
眼を凝らしてみればちらほら星も見える。
どこかの家庭の夕餉の匂い。
今日は焼き魚の香ばしい匂いがする。
今夜は我が家も、魚を焼こうか。
食欲に掻き立てられ、足早に家路につく。
玄関の扉を開ける前、何気なく空を見上げてみたら
そこには煌煌と輝く宇宙空間が存在していた。
まるで自分の存在を力強く主張しているかのよう。
この光が、遥か遠い昔のものだということは
何度聞いても不思議でたまらない。
何億光年なんて、果てしない道のりすぎて想像もつかない。
宇宙のことを考え始めると、底なし沼に足を踏み入れてしまったみたいに
先の見えない暗闇へと身体が引きずり込まれていく。
怖いけれど、誰にもわからないからこそ、余計知りたくなってしまう。
それが宇宙の魅力だろう。
部屋の窓を開けて外を眺めやる。
夜が深まるにつれて、誰も見ていないことを良いことに
空はどんどん開放的に、晴れ渡っていくようだ。
明日は快晴の予感。
No comments:
Post a Comment